大通西1、大通西2再開発を考える

大通西1にあるNHK札幌放送局の解体工事がはじまります。大通西1は市有地となっており、老朽化する札幌市役所の建て替え先として検討されていると言われています。大通西1へ市役所が移転して高層ビルが建設された場合、重要文化財である札幌時計台にどの程度の日影を落とすか調べてみました。

前提

  • さっぽろ創世スクエアのような中層棟と高層棟からなるビル形状としています。
  • 高層棟の高さを160m、中層棟の高さを50mとしています(高さに何ら根拠はありません)。
  • 日時は9月23日 8:00時点の日影を想定しています。

高層棟が大通公園側にあると市民から景観が損なわれるという意見が出る可能性があるので、まずは、高層棟が石狩街道側に配置された場合の例で日影を確認してみます。

高層棟(160m)を東側に配置した場合

結果として時計台の敷地全体がビルの影に入ってしまいます。現在は一定規模のビルを建設する場合、景観アドバイス部会で事前協議が必要となっていますが、最近の例として、高さ約120mの再開発ビル計画の協議で重要文化財である道庁赤レンガ庁舎の一部にビル影が落ちるとの指摘から、ビルの高さを115mに変更した例があり、再開発においても景観重視の傾向が強まっています。

次に、高さ160mのまま高層棟を大通公園に配置したケースでどうなるかを確認してみます。

高層棟(160m)を大通公園側に配置した場合

僅かながら影の一部が時計台の敷地にかかりますが、時計台の建物自体が日陰になることはありません。ただし、高層棟のセットバックをこれ以上大きくすると時計台の建物も日陰になってしまいます。

どこまで高さを下げれば時計台の敷地に影が落ちなくなるか試したところ、高さを132mまで低くすることで影が落ちなくなることがわかりました。

高層棟を132mにした場合

この結果は実験モデルでの結果であり、ビル形状によっても結果は大きく変わりますので、あくまでも参考程度としてお考えください。最後に大通西2街区にビルが建設された場合、時計台にビル影がどのように影響するかを確認してみます。

大通西2街区に高層ビルを建設した場合

大通西2街区の東側に160m、西側に100mのビルを置いてみましたが、北側を20mセットバックすることで高さに関係なく時計台がビルの日影になることはありませんでした。

札幌市は将来的に旧NTT西2丁目ビルを解体して西2丁目街区西側を公園化する構想もあるようです。そうなれば市役所を解体して160mクラスのビルを建設することも不可能ではありません。西側を公園化(実際は公開空地と考えています)することで、大通公園から札幌時計台への通路となる大きな広場に面した近代的な高層ビルが誕生することを期待してしまいます。

どうなるかアクサ複合ビル計画

2020年1月下旬に仏アクサ・インベストメント・マネージャーズの不動産部門が中島公園近くのヤマハ跡地にホテルやオフィスが入居する複合ビルを建設を計画しているとの報道がありました。

アクサが中島公園に複合ビル、高級ホテル誘致を視野
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54813530U0A120C2L41000/

新型コロナウィルスが世界規模で流行している中で、この計画が継続しているのかどうか不明ですが、建設予定地は2020年春から刻々と状況が変化しています。

アクサ複合ビル計画地(赤色)

アクサ複合ビルが計画されている場所は赤色のヤマハ札幌店の跡地で2020年夏に測量が行われましたが、その内容からパークホテル建て替えで閉鎖される駐車場の代替地として一時利用されるものと思われました。

しかし、コロナ禍によるパークホテル建て替え延期が表面化してから隣接する区画で建物の解体が進み、紫色の区画は2020年夏頃、青色の区画は2020年末に完全な更地となっています。また、緑色の区画にあった駐車場も2021年3月17日に閉鎖されました。

これらの更地がアクサ複合ビル計画と関係あるかどうかは不明ですが、札幌市が定める立地適正化計画区域であるため今後も注目していこうと思います。